大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和33(あ)2632 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人和智昂、同和智竜一、同武井正雄、同松本成一の上告趣意第一点について。

所論は、違憲をいうが、その実質は単なる訴訟法違反、事実誤認の主張に帰する

ものであつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお、業務上注意義務発生

の原因となる事実は、証拠によつて認定することを要するが、この事実を証拠によ

り明らかにすることができる以上、必ずしも所論の如き科学的鑑定、すなわち科学

的証拠により認定しなければならないとするいわれはないから、原判決には何ら違

法などはなく、また、本件の事実関係の下において、原判決が被告人に対し本件注

意義務違反による業務上過失の罪責を認めたのは、相当である。)

同第二点について。

憲法三七条二項は、裁判所が被告人または弁護人から申請した証人は、不必要と

思われる者までことごとく尋問しなければならないという趣旨でないことは、すで

に当裁判所の判例とするところであり(昭和二二年(れ)二三〇号同二三年七月二

三日大法廷判決、刑集二巻九号一〇四五頁)、今これを変更する必要は認められな

い。

記録によると、原審は、原審第一回公判において、弁護人からなされた所論三名

の証人尋問および鑑定の各申請を必要がないとして却下していることは所論のとお

りであるが、この措置が憲法の前記条項に違反するといえないことは、右当裁判所

の判例の趣旨に徴し明らかであり、したがつて、原判決には審理不尽の違法もない

から、所論は採用できない。

同第三点は、量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

- 1 -

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三六年一一月二一日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 高 橋 潔

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!